
過敏性腸症候群の症状
過敏性腸症候群の症状には、下痢型・便秘型・交代型に区別されます。腹痛や腹部膨満感・不快感、便通異常などの症状が現れます。突然激しい腹痛に襲われるケースと、鈍痛が慢性的に続くケースがあり、ほとんどの場合で便意が伴う腹痛です。この場合、排便することで腹痛が解消されます。これらの消化器症状のほか、頭痛や不安感・疲労感・集中力低下・抑うつ症状などが現れます。
下痢型
強い腹痛と便意が起こり、激しい下痢となって排便します。突然の腹痛と便意のため、通学や通勤時にまともに電車に乗れず、不安を抱くようになります。この不安や緊張が症状を悪化させてしまうことで、外出が困難になってしまうケースもあります。
便秘型
強い腹痛と便秘の症状が現れます。強くいきんでも、うさぎの糞のように小さくてコロコロとした便が少量出ます。これは腸管の痙攣が主な原因とされます。
交代型
つらい腹痛に伴って、便秘と下痢を交互に繰り返します。
症状を起こすきっかけ
主に、消化管の運動異常及び知覚過敏など、機能的異常が原因となって症状を起こします。また、自律神経が消化管機能をコントロールしているため、ストレスや緊張など、心理的な負荷も症状を引き起こすきっかけとなります。さらに、感染性腸炎にかかることで、過敏性腸症候群を発症することがあるため、免疫異常も誘因のひとつとされています。
過敏性腸症候群の診断
まずは、器質的異常の有無を調べます。症状がその他の疾患と似ているため、他の消化器疾患ではないことを確かめる必要があります。過敏性腸症候群の診断には、世界的に標準化された判断基準「RomeIV(R4)」を用います。現在は、2016年版が最新の基準として使われています。
RomeIV(R4)
- 腹痛などの苦痛症状が排便することで解消する
- 症状の有無によって排便頻度が異なる
- 症状の有無によって便の状態が異なる
※6カ月以上前から症状があり、最近の3カ月で1カ月につき3日以上腹痛または腹部不快感があり、上記の2項目以上当てはまること。なお、器質的疾患の有無を調べるために、血液検査・尿検査・便検査・大腸カメラ検査を行うことをお勧めしています。
治療方法
過敏性腸症候群は、突然の腹痛と便意、下痢症状など、日常生活に支障を及ぼす症状のため、適切な治療を地道に続けることが重要です。症状改善には時間がかかり、完治できる治療方法がないため、日頃の苦痛症状を緩和しながら治療を進める必要があります。
以下のように、症状緩和を図るために、生活習慣の改善・運動療法・薬物療法を行います。
生活習慣の改善

運動療法
ストレッチやウォーキング・ジョギング・散歩・水泳など、軽い運動を習慣化することが大切です。血行を促進させ、腸機能を正常に整えることができます。
薬物療法
つらい消化器症状によって日常生活に支障を及ぼす場合、薬物療法を行い症状を緩和させます。患者様の症状やお悩みに十分留意して処方を行います。必要に応じて、抗不安薬や抗うつ薬などを処方します。さらに、漢方薬の処方や乳酸菌・酪酸菌製剤などもあるので、ご要望がありましたら遠慮なく当院までご相談ください。